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Japan

米国政府から経済産業省への意見書

建材製品中のアスベスト含有率測定方法の改正に関する提案に対する、米国政府から経済産業省への意見書
2008年4月21日

米国政府は、日本工業規格(JIS) A 1481:2006に定められた建材製品中のアスベスト含有率測定方法の改正に関する提案に対し、米国の意見を表明する機会を与えられたことに感謝いたします。

米国政府(以下、米政府)は、人体の健康および環境を守るために実施されている日本のアスベスト規制における最新の変更点を認識しております。建材中のアスベスト含有の定義をアスベスト含有率0.1%へ改正されたことに関しては、非常に防御的であり、今日世界的に採択されている中でも最も厳しい基準のひとつであります。人体における特定のがんの要因と科学的関連があり、また命に関わる危険性を持つアスベスト繊維について十分な熟慮を必要とするアスベスト政策の立案、実施に向けて、米政府は日本政府の取り組みを支持します。

しかしながら、JIS A 1481:2006の改正案における分析方法では、建材中および工業建材製品において通常発見されるアスベスト繊維を完全に同定することは不可能であると、米政府は懸念しております。さらに、JIS A 1481:2006の改正案では、現行の日本の法律で定められているアスベスト含有率0.1%という定義を守れるとは、我々には思えません。

分析:

アスベスト繊維を同定し、定量化するためのアスベスト分析方法は過去50年間にわたり研究され、向上してきました。この徹底的な努力の結果、最も正確かつ効果的なアスベスト繊維の同定に関する分析方法は偏光顕微鏡(PLM)であるという結論が出ています。歴史的な建材のPLM方法により、PLM方法では過半数の建材において補完分析を必要とせず、効果的かつ正確にアスベストの集積を推定できます。より詳細もしくは正確な定量化解析の必要があれば、PLMは透過型電子顕微鏡(TEM)、X線解析装置(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)などの方法によって補完されることが可能です。

重要な点として、国際標準化機構(ISO)は、商業用建材中のアスベストを同定するための新たな基準づくりを近く完了します。同基準の最終案(ISO/DIS 22262-1)では、世界の科学的多数意見にしたがい、商業用建材中のアスベスト同定方法の選択肢として、PLMを主要な分析方法として特定しています。また日本工業規格(JIS A 1481:2006)の改正案が基準としているXRD分析方法については、ISO基準の最終案ではまったく触れていないことを、我々は指摘しておきます。

JIS A 1481:2006の改正案によれば、PLM分析方法は脚注に下げられ、事実上JIS基準からPLMは削除されます(JIS改正案、11ページの7.2.2の脚注をご覧ください)。さらには、JIS改正案の7.2.2項の脚注は、PLMや他の方法の存在を参照してはいますが、建材中のアスベストの同定と定量において、これらの分析技術を使うことの利点や必要性については評価していません。この事実に関して、アスベスト繊維の形態(繊維および繊維の束)の同定ならびに、6種の規制対象のアスベスト(アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、トレモライト)の個々の光学的特性の特定にあたって、PLMが最も効果的な唯一の分析方法と特定した世界の科学的多数意見に反するものであると、我々は確信しています。XRD分析方法では、アスベスト繊維の形態の見分けがつかないことが広く知られていると、我々は理解しています。アスベストを正しく同定するためには、アスベスト繊維の形態を見分けることは極めて重要なのです。XRDは0.1%のレベルに達するほど、低いアスベスト含有率に対応できません。XRDによる同定レベルは通常、せいぜい含有率1%です。加えて、XRDは前処理の仕方に非常に左右されるため、不確実な分析になりかねません。

つまり、PLM方法をJISから削除することは、日本のアスベスト同定水準を著しく低下させ、建材中のアスベスト繊維の同定・定量化の誤りにつながる可能性があり、予期せぬ経済的・公衆衛生的な損害につながりかねない、と我々は確信しています。JIS A 1481:2006改正案に概説された方法では、現行の日本の法律において定義づけられている、アスベスト含有率0.1%というアスベスト含有定義が可能であるとは我々には思えません。

結論:

アスベストへの曝露は中皮種、石綿症、肺がんやその他の肺の病気など、数々の健康リスクと関連しています。アスベストと関係のあるこれらの病気は、人体において20年~50年間にわたり潜伏可能であり、アスベストへの曝露による症状は、最初の曝露より数十年間を経ないと現れないこともあります。命に関わる危険性があるアスベスト繊維を建材中から正確に同定することは、健康保護のための重要な第一歩です。米国には、アスベスト対策ならびに、アスベストが公衆衛生に及ぼす脅威に取り組んできた長い歴史があります。米政府は、建材中のアスベストの同定に関して正しい基準を導入する必要性を理解しており、それに向けた日本政府の取り組みを支持します。

世界中の計り知れない数の科学的研究により、建材中のアスベスト繊維を同定、定量化する手段として、PLM方法が最も効果的な唯一の分析方法と結論づけられています。JIS A 1481:2006の改正案では、建材中のアスベスト繊維の同定手段としてXRD方法を選ぶべきだという結論に読めます。世界の多数の研究では、XRD方法は、1)様々な形態のアスベストの同定、および2)建材中のアスベスト含有率の定量化において、役に立たないという結論に至っています。したがいまして、JIS A 1481:2006改正案が規定するようにXRD方法に依存することは、一般的な商業用建材および製品の構成材としてのアスベストの同定・定量化を誤ることにつながりかねないと、米政府は懸念しています。

さらに具体的に言えば、JIS規格がXRD方法を主要なアスベスト分析手段と位置づけることで、日本において空中のアスベストの集積への暴露の可能性が増すといった、公衆衛生のリスク拡大につながりかねないと、米政府は懸念しています。

公衆衛生を守るという観点から、米政府は日本政府に対して、XRDに加えて、PLM、SEM、TEMといった科学的に確立され、国際的に認められた方法を使うことを認識して受け入れた基準を採用することを強く勧告します。さらに我々は、日本政府に対して、JIS改正案をWTOに通知することを強く勧告します。日本政府はアスベスト含有製品の規制項目について過去にも通知をしており、直近では2007年3月27日付のG/TBT/N/JPN/198があります。

Comments - USG to GOJ on Asbestos Determination (113KB) PDF